インタビュー: waits 下田理

今回のCD収録アーティストを繋ぐ要となった下田理さん。
このシーンを外側へ向かわせようとする力を心に秘めた人です。
アイルランドのフェスティバルで3位入賞という実績を持つ、彼の話を伺った。

 

 

18歳でBachueに出会い、その後、世界一周旅行でアイルランドに立ち寄る。

何年生まれですか。

1981年6月です。

出身はどこですか?

福岡県北九州です。

高校まで北九州で、大学から東京と。

そうですね。

高校まではどんな音楽をやっていたんですか?

普通にフォークを。

アコギ?

そうですね。アコギで、ブルーハーツとかやってました。

ブルーハーツをアコギで?

はい。とか、尾崎豊とか、ビーズとかミスチルとか。J-POPとか。

カバー中心で?

オリジナルも作ってました。でも歌ばっかりで。J(-POP)な感じで。

コンテストとか出たりしましたか?

そういえば一回出ましたね。ヤマハのやつ。まあダメでしたけど。

バンドも組んでたんですか?

その時は組んでいないです。

最初に買ったギターは?

ヤマハでした。

で、東京に来る訳ですね。  大学はどこに入ったんですか?

東京大学です。

うぉー。そうなんだ!みんなIQ高いね。  何学部ですか?

文学部です。

どこに住んだんですか?

最初の2年は駒場なんで、井の頭線の久我山に住んでました。
そのあとの2年が本郷の方になるので、大塚に住んでました。
僕、休学してるんです、2年が終わった後に。
高校の時も1年休学してて、その時にイギリスに行ってたんですけど。そこで、ケルト系の音楽と出会いました。

高校何年生の時ですか?

2年が終わって、2年と3年の間ですね。1年間。1999年から2000年。

イギリスのどこに?

リーズっていう街です。親父がリーズの大学で研究するっていうんで、一緒について行ったんですね。
僕は現地の高校にとりあえず1年間いるっていうだけ。
日本の学期に合わせてるから、向こうは、(新学期が)9月じゃないですか。
でもこっちは4月で行っちゃってるから、向こうに1年いたってしょうがない訳ですよね。
だから、とりあえず、日本から来たんですけど、みたいな感じで高校に行って。
参加してもいいですかみたいな感じで。で、授業に参加させてもらって。
だから試験の成績とかあまり関係ない。

リーズってどのへんにあるんですか?

北の方、マンチェスターの近くです。

そこで向こうの音楽に触れたのですか?

そこは、イギリスなんで大した事ないんですけど。スコトッランドに夏に旅行に行ったんですよね。家族で。
車で回ってたんですけど。ツーリストインフォに行ったときに、向こうのトラッドのCDとかテープとかがあって。
あるテープを試聴して、それがスコティッシュ・ハープとギター、ピアノのテープだったんで、それは何回も聴いたんです。

これは有名なアーティストなんですか?

日本では無名ですが、向こうでは有名です。

なんていう名前ですか?

バシューっていいます。Bachue。多分、バシューって読むんだろうと。すごい好きで。

トラッドをやっているんですか?

トラッドですね。

日本に帰ってすぐ、そういう音楽を始めたのですか?

ギターでインストゥルメンタルをやってたんで。フィンガースタイルみたいな。
普通に押尾コータロー的な感じとか。
だからオープンチューニングで、向こうで使うようなキーのやつをやってました。トラッドではないですが。
で、そのあと、大学で2年から3年になるときに1年間休学して、世界旅行をしたんです。
2003年から2004年ですね。10ヶ月。

これはどこからどこに行ったんですか?

沖縄からロサンゼルスです。

(笑い)西回りで?

そうです。

すごいね、それは。ちなみにどういう経路ですか?

東南アジア経由ですね。中国(香港、広州、昆明)から東南アジアに行って、南アジア、インドとかパキスタン。
で、あと中東のアフガニスタンとかイランとか。で、トルコ、ヨーロッパ。

ヨーロッパは何処に行ったんですか?

西欧と東欧ですね。北欧以外みたいな感じで。

国でいうと?

ギリシャ、イタリア、フランス、イギリス、アイルランド、ポーランド、セルビアモンテネグロとか。
チェコ、スロバキア、あとハンガリーですね。で、ドイツ、ルクセンブルク、スペイン。

すごいねー。10ヶ月だから、1箇所2週間とか?

平均すると1箇所10日間で。アイルランドは2週間とか。イギリスは3週間とか。
ひどい時はイラン4日とか。そういう感じだったです。

これは空路ですか?

なるべく陸路っていう。  
その後、アメリカへ行って。ニューヨーク、メンフィス、シカゴ、ロサンゼルス。

各地で音楽に触れたわけですか?

あんまりそんな事は・・・。でも、なるべくライブとかあったら行ったりとか。 

で、この時に、アイルランドで?

アイルランドを回ったときに現地の音楽に触れて、ああ、これをやろう、と決心しました。

アイルランドではどんなところで音楽に触れましたか?

パブが主ですね。ヒッチハイクで回ってたんで。
ダブリンから西にゴールウエイに行って、北回りで、北アイルランド回って、ダブリンに戻って。

アイルランド音楽に触れた時の様はどんなでしたか?

(高校生のときに)スコットランドで聴いた音楽がすごく残っていたっていうのもありますし。
それで(アイルランド音楽に触れるのを)すごく楽しみにしてたんですよね。
スコットランドとアイルランドは似てるっていうし、同じ部分もあるっていうし。
何て言ったらいいんだろう、言葉にすると難しい・・・。
フリーっていうのがすごくいいですよね。無料(タダ)。無料で聴ける。パブ行けば無料で聴ける。

へー。ミュージックチャージってないんですか?

無いですね。でもセッションしているホストミュージシャンにはお金が払われている。
そう、お金の話になっちゃうんですけど、それがすごくいいなと思って。
音楽としては、好かれている、地元の人たちに。っていうのがすごく伝わってくる。
なんか、聴いてるようで聴いてないし、聴いてないようで聴いてるから、盛り上がってきたら、みんなちゃんと聴いてくれるし。
歌になったらちゃんと静かになる。なんかそういう、生活の中に溶け込むっていう音楽、が、すごくいいと思った。

パブはプロが多いんですか?

ダブリンだと毎日セッションやってるようなアーティストが、観光客向けにやってたりするんですよね。
で、ゴールウエイとか行くと、プロからアマまでっていう感じなんですけど。
僕そのときあんまりアイリッシュミュージック知らなかったので、プロがやってるようなセッションもあったと思います。
音楽が有名だからってことで、ドゥーリンっていう街に行ってみたんですよ。
メインストリートが1本しかないけど、そこのパブで毎日、若いアーティストが、
多分、ダブリンとかから来たようなバンドがやっていて。
それはセッションじゃなくてライブっていうかたちでやっていたんです。
それもノーチャージで聴けるけど、すごい熱いライブをやってたんで、それがすごいよかったな、と。

パブにはステージみたいなのがあったんですか?

ステージっていうよりはパブの一角みたいなかたちですよね。そこにマイクとかを立てて。
すごい盛り上がって、客ががーっと立ったままで、みんなそれに聴き入っているのがすごかった。

ギターを担いでいったわけじゃないんですよね。

いや。担いでいきました。

じゃあ、俺にもやらせろ的なことはあったの?

そうですね。あまり上手く出来なかったですけど。

飛び入りはしたんだ!

しましたね。させてくれみたいな感じで。ちょっと静かなセッションのときに、頼んで。
その時はおじいちゃんがセッションをやってたんですけど。
おじいちゃんのギタリストの方はすごいウエルカムだったんですけど、フィドルを弾いてる方は、あまりウエルカムじゃなくて。
こんな下手くそな奴、入れるなーみたいな感じで(笑)。確かに僕もよくわからなかったですけど。
だからちょっと悔しいなと思ったりとか。でもなんかすごい楽しいから。やっぱりやりたいなと。難しいですね。

それで、帰ってきて、いきなりアイリッシュ音楽を始める訳ですか?

そうですね。向こうで楽譜を買ってきて。「サリーガーデン」とか弾けるような。で、帰ってきてバンドを組んだ。

その楽譜は、オープンチューニングなんですか?

そうですね。

タブ譜になっているの?

僕が買ったのはタブ譜のでした。
ギターだけでメロディーを弾くやつもありましたし、メロディーと一緒に、
ギターがこんなバッキングをやるんだよみたいなのもあって、すごくわかり易かったです。

ギターそのものも違うんですか?普通のヤマハのフォークギターじゃなくて。

それでもいいと思いますよ。ガット弦でもスチール弦でも、人によって全然違います。

決まってないの?

決まってないですね。ギターは一番新しい楽器なんで。

ポーグスとか聴いてたんですか?

そこは聴かなかったんです。歌ものはあんまり。
インストがいいなと思って。スコットランドで聴いた、Bachueがインストですごくかっこ良かったんで。

waits結成

帰ってきて結成したバンドについて教えて下さい。どこで組んだんですか?

大学のサークルですね。POMPっていう。Place Of Music Peopleだったかな。
すごいでかいサークルで。100人くらいいるような。
そのサークルには旅行に行く前から入ってたんですけど。
で、帰ってきて組んだバンドは、編成が、ヴァイオリン(フィドル)と僕のギターと、パーカッションですね。
ドラムをやっている人にボンゴとかジャンベを叩いてもらって。

アイリッシュのパーカッションって、ボンゴとかジャンベを普通に使うんですか?

いや、あんまり見ないですね。
決まりはないんですが、アイリッシュっていうとバウロンだけになっちゃうんですけど、
バンドでやってると、ジャズ的なドラムとか、ビッグバンドでドラムやったりとか。
あと、アフロケルトっていうジャンルだと、アフリカンなものとか。

このバンドは何ていうバンドなんですか。

これがwaitsです。

あっ、そうなんだ。今のメンバー?

いや、違います。waitsとしての歴史は長いんです。2004年春結成です。

waits ってどういう意味なんですか?

トラベリング・ミュージシャン(旅する音楽家)っていう意味らしいんです、向こうの古い言葉で。
スコットランドなのかな。

当初のレパートリーは、カバーというか、トラディショナルだったんですか?

そうですね。買ってきた楽譜からやったりとか。あとオリジナルのインストも。
今のメンバーになるまでにかなり紆余曲折がありました。
メインのフィドルも、今の山口が3人目です。今のメンバーになったのが、2005年で。

ライブはどんなところで?

ライブハウスです。

お。そこが、今回のオムニバスに参加した他の人たちとちょっと違うところですね。

そうですね。マンダラ2とか、PLUGとか。
そのあと、月見ル君想フ、や、晴れたら空に豆まいて、に顔出すようになって。

ライブハウス以外の、パブではあまりやらないんですか?

そうです。ひとつは、ドラムがいる、っていうのがあって(パブではドラムを組んで演奏する事があまりない)。
あと、やってる事があまりトラディショナルなスタイルじゃないんで、
だったら他のバンドと勝負した方が差別化になるかなと思ったんですよね。
最初は、カバーというか、完コピもやってたんですよ。ルナサとかソーラスとか。
それをそのままアイリッシュのトラッドをやっている人たちとやっても、あーあれだよ、とか言われる。
それプラス、もちろんオリジナルもやってて、それを組み合わせてアイリッシュバンドっていうんであれば、
外に出た方がいい、と思ってたんです。

もともと下田君としては、アイリッシュ音楽愛好家に向けてやってるわけではないんだ。

そうですね。もっと一般的なお客さんに聴いてもらいたいと思ってました。

ライブの頻度はどんな感じですか?

1ヶ月に1回くらいでしょうか。

waitsとしてはレパートリはどれくらいあるのですか?

今のメンバーでの持ちネタは、10曲くらいです。山口と二人でやる時はもうちょっと増えます。

現メンバーのプロフィールを教えて下さい。まずはフィドルの山口幸孝さんから。

彼も九州出身で、佐賀なんですけど。1学年下です。年齢は2つ違います。

もともとフィドルをやっていた人なんですか?

いや。ヴァイオリンを幼少のときにやってて、十何歳かでやめちゃったんです。
で、ギターをやってた。大学でもギターをずっとやってて。ギター&ボーカルとか。
いつかのライブで、ヴァイオリンをやってるのを見て。フュージョンかな。で、やろうよということになって。
ちょうどその前のメンバーが抜けるかもという話になってたんで、ちょっと入ってくれないかというのがきっかけですね。

初歩的な質問ですみません、フィドルとヴァイオリンは楽器が違うんですか?

いや。同じです。

彼は、アイリッシュも詳しかったんですか?

いや。全然。バシューを教えて、まず、それをコピーしようということになって。
ただ、彼はもともとゲームが好きですから。
ゲーム音楽って結構、アイリッシュの要素があるらしく、それで懐かしいってなったみたいですね。
ファイナルファンタジーの音楽とか。
そういうインストもので哀愁あるメロディーというのには馴染みがあったみたいですね。

で、ドラムの吉川知宏さんは?

出身は東京。彼はずっとドラムです。年齢は僕より1歳下です。
彼はメタル好きなんです。メタル狂ですね。
僕はよくわからないけど、メタリカとかドイツのなんたらとか、よく話題に上りますよ。かなりマニアです。

それとアイリッシュとどう繋がっていくのかな?

メタルもインストでなんか、あるらしいですよね。けっこうジグっぽい。
ジグとかだと三連符で、ダダダ、ダダダとかいうのもあって、あれを速くするとメタルになるみたいなんですよ。
というのを彼自身がが言ってたんで。

なぜメタル好きがアイリッシュをやるようになったかというと?

それは僕が誘ったからです。練習をやっていくうちに、という感じでしょうかね。

で、彼もアイリッシュ好きになってきたと。

いや、そこまでではないと思いますが(笑)。好きではないという意味ではないけど。
音源はもっぱら僕のほうから提供する感じです。
彼はドラム1本でやってるんですけど。プロのドラマーを目指して今修行中です。

他にバンドをかけもち?

ええ、何個かやってます。

それメタル?

いや、下北系ポップバンドとか。メタルもあるらしいけど。
メタルが好きとはいえ、目指したいのはジェネラルなドラマーらしいんで。

山口さんは普段何を?

働いてます。サラリーマンを、名古屋で。外資系らしいです。

へー。下田君は?

僕は今は求職中です。2006年に卒業して会社勤めしたりして、waits をやって。(注:現在は某出版社に勤務中)

アイルランドのフラー・キヨールで3位入賞!

2008年にCDを録音した後に、山口と二人で向こうのフェスティバルに行ったんですよ。
フランスとアイルランド。フランスのブルターニュで年に1回、多分ヨーロッパで一番大きい祭、
インター・ケルティック・フェスティバルっていうのをやってるんですよ。
そこを絶対観に行きたいと思って、会社休んで1ヶ月くらい行ったんですけど。

これに出演したんですか?

普通に観に行ってました。

飛び入りもできるんですか?

まあ、祭りなんで、ストリートやってたり、セッションやってたりとか。
あと、ワークショップもあったんで、そこに行ったりとか。音楽漬けな感じで。
で、そこに出られたらかっこいいなと思ってます。

アイルランドの方は?

アイルランドは、フラー・キョールです。今年豊田耕三さんが出るやつです。
アイルランドのフェスティバルで、全国大会ですね。アイリッシュミュージックの甲子園みたいな感じです。

プロ・アマ問わず?

アマチュアです。そしてヤングです。

どういうふうにすれば出られるの?

豊田さんの場合は、テープ審査ですね。
本来はアイルランドだけじゃなくて、各地区のコンペティションで勝ち上がった人が、
フラー・キョールに出られるんですけど。カナダ代表とか、アメリカ代表とかあるんですよね。

日本はないの?

日本はないです。日本はフラー・キョールがないんで、豊田さんは個人参加っていう。
ただ、飛び入りで参加できるコンペティション、いろんな部門があるんですよ。
ティンホイッスルの部門とか、アコーディオンの部門とか。あと、デュオの部門とかもあって。
で、その中にセッション・コンペティションっていうのがあってですね。セッション力を競うみたいな。
それは誰でも行けるみたいなかたちなんです。
僕ら行ってはじめて知ったんですよ、セッション・コンペティションならいけるんじゃないかって。
行ってみたらエントリーさせてくれたんです。山口と二人だけで出ました。

で、どうでしたか?

3位をいただきました。

うおー!これ、日本人としては画期的なことなんじゃないですか!はじめてじゃない?

多分そうだと思うんですけど。

ギターとフィドルだけでね。どういう曲をやったんですか?

waitsでやっているような、CDに入っている「waitsセット」とか。
あとは、日本人で 奇抜な事をしないといけないから、歌を歌おうって、ブームの歌を歌ったりしました。

それが効いたのかな?

それが効いたと思いますよ(笑)。効いたと思うんですけど、どういうふうなコンペティションか判らなかったんですよ。
まったくこっちは全然判らなくて。で、後で判ったんですけど。
形式としては、最初、ここのパブに行って演って、みたいな感じで言われて、
パブに行ったらお客さん誰もいないんですけど、なんか審査員が紛れ込んでるらしい。
とりあえずはセッションみたいな感じで、2人で30分くらいやってですね。
お客さん、2−3人くらいちらほらしてる。そういうのが2回あって。
1回目はそんな感じで、2回目は、次ここに行ってって言われたら、ホテルの備え付けのパブで。
そこにテレビ(カメラ)が待ち構えてたんですよ。お客さんはテレビ局のクルーが呼んできて。
それが第二次審査だったらしいんですけど。その後本戦、5組くらいかな。

どんな所で?

別の大きいホテルの、ソファーが置いてある、待ち合いスペースみたいな所ですね。
レストランの隣みたいな感じですね。そこの奥で、生音でやって。お客さんは、ぱーっといるんですけど。
セッション・コンペティションって、セッションなので、どれだけセッションっぽいことができるか(を競う)。
アイルランドでセッションぽいってどういう事かというと、審査員の人が後で見せてくれたんですけど、
曲にバリーションがあるかとか、いろんな楽器があるか、ダンスがあるか、歌があるか、
そういう項目で競い合うらしいんですよ。だから、なにげなく歌ったものが評価されたらしいんです。
あの歌、多分フランス語?みたいな(笑)。(本当は日本語だけど)フレンチな感じの歌がよかった、みたいな。
でも、他の項目では、セッションというより、コンサートみたいだった、という評価もあったんですよ。

採点基準は全く知らないまま、無鉄砲にやってしまったという?

そうです!
二人だけだし、それだったらいつも自分たちがやってる事をやろうって感じでやったら、多分お情けで3位で。

すごいねー! で、2009年にはドーナル・ラニー率いるFlying Dugong Bandと共演したと。

そうですね。代官山のライブハウス、「晴れたら空に豆まいて」の角野さんがけっこう良くして下さっていて、
そんなブッキングをしてくれたんです。
「晴れたら空に豆まいて」は結構アイルランドミュージシャンが来日するとよく演ってるんですよ。
だから最初はこちらから出してくれってお願いしたりしてたんです。
平日のノルマ制で対バンでやってたんですけど、そうこうするうちに、向こうも気にかけて下さるようになって。
ドーナル・ラニーの他にもいろいろイベントに呼んでくれるようになりました。
すごくお世話になってます。

で、去年くらいから東京のアイリッシュバンドと一緒に演奏するようになって。
本岡トシさんのバンドや、O'Jizoと交流をするようになりました。

それまでは、

全然やってませんでした。

そうなんだ。今回のコンピの7組は?

この7組はかなりバラバラですね。あまり一緒に演奏したりとか、以前はなかったです。
ここ1年くらいでいろいろと交流するようになってきたという。

Bachueが僕の原点

この音楽をやろうと思ったその動機についてもう少し詳しく教えて下さい。

僕自身は、Bachueっていうバンドが、すごく、今もそれを超えるバンドはいないと思っているぐらい好きなんですよ。
アレンジとか、一番新しいと思ってるし。
いろんなバンドを聴きましたけど、それでもバシューが一番かなと思っている。

Bachueはクロスオーバー的な所があるんですか?

ジャズですね。クロスオーバーと言うよりは。ジャズと、あと、インプロもちょっと入っている。
いわゆるクロスオーバーで、パンクとか、アフリカンっていう感じじゃないんですよ。
だから結構ユニークかなと思うんです。
よくあるのは、フュージョン、パンク、ロック、あとアフリカンなんですけど、そのどれとも違う。
やってることもすごく新しくて、スコットランドのミュージシャンを2−30人集めて、ビッグバンド組んだりしてるんですよ。
それで年に1−2回ツアーをやったりっていうプロジェクトもやってるんで。
その音楽もすごくかっこいいから。彼らが、僕の原点としてある。

日本人がこの音楽をやることについては?

もともと民族音楽にすごい興味を持っていて。沖縄系だったりとか。
そういうソウルフルな音楽に興味があったんですね。
そういう音楽をやりたいなとは思ってたんですけど、沖縄はちょっと、やるとしたら違うな、と思ってたんですよね。

日本では、1990年前後とか、エンヤが出てきた頃とか、わりとまあ、あったんだよね、アイリッシュブームが。
U2、エンヤ、ポーグスみたいな。ロックのフィールドからこれに注目っていう。
当時の日本の音楽もアイリッシュテイストを取り入れてみたいな事が流行ったんだよ。
でもそれって、あんまり、何にも生まなかったというか、消費して終わったというか。
そういうのがあって、残念な気持ちになったんだけど。
今のこのCDに代表されるミュージシャンたちは、そういうベクトルとはまるっきり違って。
つまり、向こうのミュージシャンのレベルがこうあったとすると、
もう、真っ向からそれと勝負しようとしている人たちだという感じがするんだよね。
その志の高さっていうのが、すごいなーと。目線が違うんだよね。
向こうの音楽を有り難く承って、それを自分たちの音楽に取り入れて出しました、っていうんじゃなくて、
まるごとそこにどかんと入っちゃってる、そういう感じがすごくする。全然違う。
そういう意味で新世代だなと思うわけ。
言葉悪いんだけど、物まねっていえば物まねなんだけど、そのレベルが違うっていうか。
演奏力もそうだし、ちょっと取り入れてみましたっていう感じではないよね。
そういうムーブメントは、多分、今までなかったような気がする。
こんなにいっぱいそういう人たちがいて、ばさーっと出てきてるっていう。
まあ、これだけで食っていけないかもしれないけど、何か起こるんだろうな、という気がしてて。

なんか、関西でもアイリッシュ・コンピが出来るらしいですね。

これ、もりあがってるのかね、ひょとしたらね。

どうなんですかね。

時代的に言っても、なんちゃってな音楽は通用しないんじゃないかな。これ、まじめな音楽だよねー。

いや、っていうか、酒と一緒に楽しめる音楽だっていうのが大きいですよね。
まじめな部分もあるけど、それ以外の要素でもいけるっていう。
すごい二面性があるっていうか。
それってこの音楽のコアな部分ですよね。
真面目にも弾けるし、違う要素を混ぜながら、お酒とか、おしゃべりとか、普段ライブに行くんだけど、
でも日本人が絶対しないようなこと、そういう雰囲気をひっくるめて音楽っていうものがあるってのが、
すごくいいなと思ったんですよ。

そういう場所は、例えば都内でいうと増えてきているんですか?

アイリッシュ音楽に関していうと、アイリッシュパブしかないですけど。
そういう雰囲気は全然ないですね、本場のアイルランドと比べて。違いますね。
まあ、そういうのが一瞬生まれる場所っていうのはありますけど。
僕、アイルランドから帰ってきて、それに近いと思ったのは、居酒屋ですね。
浅草の方の居酒屋で。僕ら二人がストリートやってたら、「ちょっとおいでよ」って声かけられて。
マスターだったんですけど。日本のフォークミュージシャンとか、漫才とか入れて(笑)。
お客さんになんか、チップ要求してやってるんですけど。
そういう雰囲気の方が近いなと思うんです。
酔っぱらいのおっちゃんが、なんか、あれ歌ってくれよ、みたいな、ちょっとカラオケチックな所もあるんですけど、
日本的な雰囲気ってそういう感じじゃないですか。座敷で飲んで、やんややんやっていう。
で、アイリッシュ音楽やりますっていって、なんかすげーな、みたいな。
だから、無理して(アイルランドを)真似しなくてもいいと思うんですよね。

そういう場所を作っていきたいっていう欲求はありますか?

僕はあんまりないんですけど、本岡トシさんはありますね。
できればいいな、とは思うんですけど。パブやったらいいんじゃないって人に言われたりしますけど。

最後に、このコンピの感想を。

よく、ここまで揃ったなと。おおたか静流さんが個人的には良かったな、と。

CDに収録されているwaitsの「second line set」っていうのはライブでもよくやるんですか?

もう毎回ですよね。出来てからは。

自信作ですか?

そうですね。

リズムがすごいいいもんね、waitsは。もうビシッビシッていう感じで。気持ちいい。

ありがとうございます。

フジロックにアイリッシュセッションのコーナーが出来るくらいになるといいね。
あと野外。気候のいい10月くらいに、昼間、外で聴いてみたい。ビール飲みながら。

そうですね!

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コメント: 1
  • #1

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