Live Reports レコ発ライヴ第2弾@青山 CAY

レコ発ライブ、無事終了しました!

どちらも満員御礼、本当に有難うございました!

第2弾の青山 CAYに来て頂いた、2人のヘビーリスナーにレポートを書いて頂きました。

 

大島豊さん(翻訳家・評論家)

澤田幸江さん(さすらいのケルト・ミュージック・リスナー)

 

です!

 

また当日の様子を映した写真も満載です!

 

 ~「クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)」より
http://blog.livedoor.jp/yosoys/archives/51645183.html
 
翻訳家 大島豊
 
 
プログラムが進み、時間が経つにつれて雰囲気が盛り上がってゆく。開幕しても、入ってくる人の流れが途切れない。休憩中もぽつりぽつりと人がやってきて、飲み物のカウンターに近い後ろの方はかなり混みあってくる。とともに、会場の「温度」がゆっくりと昇ってゆく。ゆっくりではあるが、止まらない。
 
    それぞれに個性的、特色を全面に打ち出す各バンドに客席は敏感に反応し、それがまたバンドの演奏を熱くする。
 
    アイリッシュ・ミュージックによく親しんだお客さんが多いのだろう。おそらくプレーヤー人口密度はかなり高かったにちがいない。楽器を背負ってやってくるお客さんも少なくない。自分のライヴを終えて駆けつけた岡大介さんのような人もいる。ノリの良い曲でも、簡単に手拍子などせず、むしろ音楽に集中する。
 
    司会の中藤有花さんがおっしゃっていた通り、かつてここ CAY は「ケルティック・クリスマス」が何度も開かれた場所だ。ダーヴィッシュも、ソラスも、シャロン・シャノンも、ニーヴ・パースンズも、ドーナル・ラニィ・クールフィンも、ここですばらしいライヴを繰り広げ、一夜かぎりの「ハプニング」に興じた。
 
    今夜、登場するのはいずれも日本ネイティヴのバンドだ。アイルランドに渡って腕を磨き、研鑽を積んできた人は何人もいるにしても、成人するまで、早くても物心つくまで、アイリッシュ・ミュージックに触れたこともない人たちばかりなのだ。生まれた時に、いや母親の胎内にいる時から、周囲ではアイリッシュ・ミュージックが鳴っているという環境に生まれ育った人は一人もいない。
 
    その人たちが、まるで生まれた時からやっています、というように、アイルランドやスコットランドや、あるいは広くケルトとしてくくられる音楽の真髄を聞かせてくれている。
 
    偶然か必然か、これだけ質の高いバンド、ミュージシャンたちがそろったことは、ミュージシャンたち自身にも常にない高揚感を生んでいたらしい。それぞれのバンドはリラックスしながらも、気合いのこもった演奏を繰り広げる。これまで何度かライヴを体験した人たちもいるが、個々のメンバーとしても、バンドとしても、精進の跡が鮮やかだ。初めて生に接する人たちも、テンションが明らかにいつもとは違うとわかる。
 
    O'Jizo のアンサンブルの完成度の高さはいつも通りだが、この夏、豊田さんと内藤さんがアイルランドで武者修行してきたその成果は、音楽全体の質を一段と高めている。
 
    オオフジツボの楽曲の独創性はドーナル・ラニィをも唸らせたほどのものだが、ライヴで聞くとあらためて別世界に連れていかれる。甘さと鋭さと悲しみのブレンド。
 
    ハイランド・パイプを生で聞くのは久しぶり。一曲吹くと400m全力疾走と同じというが、五社義明さんはオリンピック金メダル級のパワーで駆け抜ける。これは本来、ソロの楽器なのだが、《TOKYO IRISH GENERATION》の中でもパーカッションとの共演が効果的だった。今回も最後に MIP と John John Festival のドラマー、田嶋トモスケさんを迎えての1曲には、会場全体のテンションがぐんと上がった。
 
    そしてその Modern Irish Project。先日の代々木公園でも感じたことだが、田嶋さんのドラミングの腕がさらにまた上がっている。田嶋さんと大渕さんの生み出すグルーヴを、ぼくは受け止め返しているだけ、とギターの長尾さんは言うが、そのグルーヴは三人の間で目にも止まらぬスピードで回され、増幅され、宙に放たれて渦を巻く。ぼくらはそれにあらがいようもなく巻きこまれ、載せられてゆく。レゲエのビートにのるジグ、スイングするリール。伝統音楽の柔軟性をいかんなく発揮して、盛り上りは絶頂に達したとみえる。
 
    しかし、その後に驚きが待っていた。トリに登場した John John Festival は、静と動を鮮烈に対比させて、会場内はほとんど1個の坩堝と化す。フィドルのじょんさんはフェアリー そのもの。熊坂さんは鍵盤アコーディオンによるアイリッシュ・ミュージック奏者としては、今、わが国でベストではないか。
 
    ベースにしている伝統は確かに異国のものかもしれない。しかし、今夜くりひろげられているこの音楽は、これはどうみても聞いても「借り物」などではない。 21世紀初頭、極東の島国に生きる人びとの血肉が音になっている。異国の伝統はこの人たちの血肉に染み込み、なにか微妙な化学変化を遂げて、異質な要素はそのままに音楽の源泉として共通なものを生みだしている。
 
    これはあるいはこの国の文化の特徴、得意技なのかもしれないが、いま、ここでは、そんな抽象論はまず脇に置いておこう。20代はじめから30代後半までのこの人びとが体現しているこの音楽にこころゆくまで浸りたい。
 
    むろん、今夜、ここに集まった人たちだけではない。今回、たまたま参加していない人たちもたくさんいる。関西からも狼煙は上がった。時代は変わった。新しい周期が始まっているのだ。まさか、このような日が来るとは、まったく感無量であるとともに、この人たちと時空を同じくできた幸運に心より感謝する。
 
    このイベントを仕掛け、実現したトシさん、スザク・ミュージック社長の平田さん、参加したミュージシャン、裏方で支えたスタッフの方々、会場の CAY の関係者の皆さんには最敬礼を。ありがとうございました。

---澤田 幸江---
    さすらいのケルト・ミュージック・リスナー
 
 
昨夜はまったくWhat a what a...な夜だった。
 
2010年11月28日 日曜日、青山のEATS and MEETS Cay。スパイラルビル地下のライブハウス、いやライブもできるダイニングバー?
まあ何でもいい。足を運んだのは随分久しぶり。
 
TOKYO IRISH GENERATION/V.A. CD発売記念ライブのVol.2でした。
一ヶ月前のVol.1は日曜の昼だったのでちょっと行けなかった。
 
Vol.2は6時開演。そうか、これならなんとか間に合わせられそうだと気付いたのは、22日O'Jizo@Sullivan'sで手に取ったチラシ。
気付いてよかった、来てよかった。これを見逃していたら一生の不覚。
 
EATS and MEETS Cay、以前は青山Cayという名前だった。
 
かつてここでどれほどIrish Musicの来日公演を見たことか...
ネット上に人様が残してくれた記録に頼って、少し掘り起こしてみた。
 
1998年12月 SOLAS 
 カラン・ケイシーとジョン・ドイルがいた頃のソーラス
2000年3月 Lunasa 
 これが初来日だったのかな、おそらく。
2000年5月 アルタン祭り~前夜祭 タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、ケパ・フンケラ with ALTAN
2000年9月 つづら折の宴 アイリッシュ編 アンディ・アーヴァイン&ドーナル・ラニー
 これは残念ながら行けなかった。チケットは取ってあったけど、緊急大手術を受けた母の看病のため、友人に譲った。
2001年12月 つづら折の宴 アンディ・アーヴァイン&ドーナル・ラニー
 これにはもちろん行きました。握手してもらったアンディの手が大きくて分厚かったこと、不思議と覚えてる。
2002年8月 Four Men and A Dog(アルタン祭りの一部)
2002年12月 Dervish
2003年12月 カラン・ケイシー+リズ・キャロル&ジョン・ドイル 
 続けて行われたセッションパーティーには、カルロス・ヌニェス、シャロン・シャノン、リアム・オフリンも参加。
 
これで全部かどうかは思い出せないけれど、あの頃はステージ前は桟敷席で、すごく窮屈な体勢で見たこともあったのに、毎回終わる頃にはそんなことどうでもよくなってた。
アイルランドからはるばる来てくれたミュージシャンたちの演奏を間近で目にし、ただただ聴き惚れた。
セッション・パーティーとかクリスマス・パーティーとか色々名前が付いた公演は、通常のステージとは違う組み合わせでの演奏があったり、ミュージシャンへのインタビューがあったり、毎回ハプニングやサプライズの連続で、本当に楽しかったものだ。
 
そんな過去の記憶のあれこれが、どうしようもなくオーバーラップしながらの昨夜の熱いライブだった。
 
司会進行役の中藤有花さんもやはり、冒頭、この同じ場所で本物のアイリッシュ・ミュージックを聴いた経験を語っていた。当時あの場を経験した人は、きっと昨夜は皆同じような感慨に耽ったのではないだろうか。
 
時は流れて2010年。
若手ミュージシャンが集結し、東京発のIrish MusicのCDを作ってしまった。しかも既存の音源を寄せ集めたものではなく、このCDのために録音されたもの。
発売記念ライブVol.2はCD参加7グループのうちの5グループが出演。
開演6時を少し回っていたかな、終わったのは9時半過ぎてましたね。
なんかもう、オバサンは感動しましたよ。日本のしかも東京の若者だけで、こんなことが起こったこと、できたこと。
 
ケルトブームとも言われた90年代後半から2000年を超えた数年間では、こんな光景は予想もできなかった。来日コンサートは近年に比べればずっと多かったものの、ありがたく聴かせてもらうのが精一杯で、自分で楽器を持って演奏する人がじわじわ増えていた程度だったと思う。ケルト・ミュージックのこれほどの拡散と浸透を誰が予想できたか。
 
しかしここ4・5年でアイリッシュ・ミュージックやダンスの裾野の広がりは実感していたし、特にこの2・3年、若手のミュージシャンの台頭には目を見張るものがあった。そういう意味では、このTOKYO IRISH GENERATION/V.A.のCDも決して偶発的なものではなく、生まれるべくして生まれたものだと言えるだろう。
 
登場順はどうもCDの順番に倣っているようで、トップはO’Jizo。
初めフィドルのマレカさんのPAの調子が悪く、まさか感電してないよねと思わせるくらいの大きなノイズにドキリ。最近は近場のPAなしのパブライブ(すいません。自前のやつです)で見ていたので、こうしてちゃんとステージに立った彼らを見たのは1年ぶりくらいかな。さすがにライブハウスのPAを通すと、個々の楽器がくっきりと際立ち、圧巻でした。一回り大きくなったような気がしたのは、音楽だけじゃないね。オーラというか、華やかさというか、オバサンには眩しかった。
 
次のグループのセッティングにかかる時間を利用して、演奏を終えたミュージシャンへインタビューという趣向もよかった。いつもはフィドルを弾く側で、司会役は初めてという有花さんだったけど、なかなか堂に入ったもの。
 
二組目はオオフジツボ。
名前は耳にしてたのに、なかなか聴く機会がないままになっていたグループ。フィドルとギターとアコーディオンの3人編成。そうあのスコットランドのLAUと同じじゃないですか!演奏のところどころにLAUを感じさせるフレーズがあったりで、意識しているのかどうかは別として、全くもって新鮮な驚きに溢れた演奏でした。己の不明を恥じるばかり。
 
そして前半2グループのジョイントセッションで盛り上がったところで、インターミッション。
 
後半のトップは、ハイランドパイプの五社さん。客席後方から迫力の音を響かせながらの登場。ハイランドパイプとマーチの組み合わせはほんとカッコイイです。彼の演奏を聴けば、ハイランドパイプってうるさいだけじゃんみたいな印象は吹っ飛ぶでしょう。
 
続いてMIPことModern Irish Project。アイリーン・アイヴァースに影響されてアイリッシュ・フィドルに転向した大淵愛子さん、それこそ青山Cayの頃にはまだ中高生だったわけですから、短期間でほんとにまあ成長し、進化したものです。MIPが身上とするのは”Feel the Groove!"、たった3人のフィドルとギターとドラムス、このシンプルな編成でここまでのグルーヴを出せること、驚異的です。O'Jizoのギタリストでもある長尾くんが、ここではまた違った持ち味を発揮。ドラムのトモスケさんと三位一体で繰り出す音の波・うねりに、場内ヒートアップ。
 
最後とりを務めましたのが、John John Festival。
この人なしでは、おそらくこういう企画もCDもできなかったろうという、バウロンのトシさんと、フィドルのジョン、ギターのアニー、アコーディオンの熊坂るつこさん、ドラムのトモスケさん。この日唯一の歌もの「古い映画の話」。CDで歌っているのはあのおおたか静流ですが、ここでのヴォーカルはジョン。ジョンだけど女の子です。アイリッシュの伝統曲に、日本語の詩を乗せたというこの曲、しっとりとしたいい歌です。
この静かな歌とハジケるインストチューンとのコントラストがまた、このグループの面白さ。ハジケたらもう止まりません。
 
最後は全員集合の大セッション。五社さんは小型のパイプに持ち替えての登場。見たことない形だったけど、後で聞いたらシャトル・パイプというらしい。音はいわゆるスモールパイプのあのなんとも形容詞がたいまろやかな音だった。
 
ほんと何度もしつこいようだけど、この同じ場所で、日本の若手だけでこんな音楽が聴ける日がくるとは、未だにちょっと信じられない。
 
アイリッシュやスコティッシュ、ケルトの伝統音楽をベースにしながらも、軽々とそれを飛び越して、独自の世界を切り開いている彼らの音楽。ここはまだほんの入り口・始まりで、この先更に飛躍や進化が続くんだろうなと、未来への可能性も感じさせるライブでもありました。
 
終演後、今回のCDのライナーノーツを書かれたおおしまゆたかさんとちょっと立ち話をしましたが、関西でも同じようなコンピレーションアルバムがもうすぐ出るそうで、関東も関西も一同に会した屋外のサマーフェスティバルとか実現したら楽しいだろうねとか、ケルティック・コネクションみたいな大きなケルト音楽イベントで、Japan Dayでもセッティングできたら面白いだろうねとか、妄想を膨らませてしまいました。大金持ちだったら自分がスポンサーに名乗り出たいところだけど、悔しいな。
 
オオフジツボを除けば、折々にライブ演奏を見ていたグループの大集合だったけれど、こうして一同に会したことで、相互作用というか、よい意味での競争意識が働いたのかもしれない。いやむしろ彼らが短期間でどんどん進化している証拠なのだろう、見るたびにその変化に驚く。
 
本当に密度の濃いコンサートだった。
 
ありがとう、みんな。

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コメント: 1
  • #1

    Lazarus (月曜日, 23 7月 2012 19:57)

    Worthwhile info. Fortunate me I discovered your web site by accident, I bookmarked it.